父親の科学

  • 全体的に、米国の父親研究の少なさを嘆く記述が多すぎる印象。代わり映えしない、やや政治的なアピールにうんざりしつつ、その部分を飛ばして面白い記述を探していった。

はじめに

  • 子どもの年齢がいくつであっても、遊んだり、じゃれあったり、ともかく身体を動かすことは父親が寄与できる代表的な子育てなのである。

1. 父親のルーツ

  • マウスの実験。隔絶された環境で飼育したオスとより豊かな環境で育てた「強化オス」をそれぞれメスと交配。すると、強化オスと交配したメスの方が、より多くの資源を自分の子に与え、より母親らしい行動を示すことがわかった。より好ましい相手を得たメスが、子に対してより多くの投資をしたのである。(p.48)。「オスに魅力をもたせることで、メスを子煩悩な母親に変貌させ、、ひいては子にも悪影響を与えるのである」(p.49)。
  • 父性発言遺伝子の話。よく分からないから読み飛ばした。

2. 受精

3. 妊娠

  • 父のホルモンが妊娠中に変わる話は読み飛ばし。

    出産を機に生じる不和

  • 赤ちゃんの誕生後、引越しをした研究者夫婦が経験したトラブル。夫婦げんか。トラブルを解決するすべのなさに途方に暮れる。
  • 彼らはフィリップ・コーワンとキャロリン・コーワン夫妻。後にフィリップはカリフォルニア大学バークレー校の心理学教授となる。彼らは「家庭生活スタート・プロジェクト」なるものに着手した。15年をかけて96組のカップルを調査。1979-1990年にかけて。
    • コーワン夫妻の調査したカップルの20%は、こどもが幼稚園に通うまでに離婚した。といっても、残りの80%の夫婦が円満に過ごしたということにはならない。
    • 家事に積極的に関わる弾性は、家事をしない男性に比べて、自分に自信を持ち、家庭も円満だと考えていることがわかる。しかも妻の気持ちも大いに前向きになるのだ。
  • 「妊娠中のパートナーを手伝って日用品の買い物をしたり、病院に連れていったり、超音波で胎児の様子を確認したり、心音を聞いたりする父親は、しなかった父親に比べて、出産後もパートナーや子供と深く関わる傾向が強い。これはパートナーと同居していない父親であっても同じである。パートナーの妊娠期間中にいろいろと世話を焼く父親は、赤ん坊といっしょに遊び、本の読み聞かせをし、子育てに州寸で参加する場合が多い。また、そういうタイプの方が、失業をしていても仕事を見つけやすいし、どこか別な場所に住んでいたとしても、パートナーと同居するようになる傾向がある。こうした波及効果は夫婦にとっても子供にとっても好ましいものだ。」(p.104)

4. 実験室からみる父親

  • 鳥類の場合、10~40%の子が不義密通の結果、つまり、つがいの相手以外の子であるという。
  • 男性の産後うつ。パートナーの出産後に中度から重度のうつを患う新米パパは10人に1人の割合でおり、男性全体のうつ秒間じゃが3~5%であることを考えると、これは驚くほど高い。

5. 乳児期

  • ハーバード大学の心理学者ミルトン・コテルチャック。ストレンジ・シチュエーション法と呼ばれる心理学の実験法を利用。大人が部屋を出たり入ったりする際の子供とその母親、見知らぬ大人の影響をみるもの。
    • 反応の差。およそ半数の乳児が父親よりも母親を好み、4分の1は反対に父親を好み、残りの大多数は両親のどちらも同じくらい好きだというそぶりを見せた。女児男児でも違いなく。だが、父親になついていないように見えた乳児は、父親の育児への関わりが最も少ない家庭のの子供たちだったのだ。
  • マイケルラムの研究。子供の反応は父親に対するほうが積極的。父親は身体を使った独自の遊びをする傾向。
  • 父親よりも母親の方が昼夜ともに子供の世話をするが、父親が子育て全般により多く関わるほど、乳児の夜間覚醒が少なくなる。
  • 仮説:子供に対して父親がより関わり気配りをし、反応も素早いと、子供は外在化問題行動と呼ばれる、かんしゃくもちやかみつき、蹴飛ばすなどの問題行動をとることがすくなくなるというもの。

幼児期および学童期

  • 父親と息子の関係は重要。関係が良好であれば父親に似る。
  • ヴァーノン・フィーガンズ。子供の言語発達に関して父親は母親よりも重要。「6カ月の子供に絵本の読み聞かせをする際の父親の語彙と教育水準が、15カ月になったときの子供の表現力と、3際になったときの子供の語彙の豊かさに大いに関係していることがわかった。母親の教育水準や子供への語り愚痴はこの結果に影響を及ぼさなかった。」(p.169)。
  • 父親による指示的な子育ては子供の知的張ったtうも押し上げる。また母親のふるまいも改善する。
  • 父親の関係は遊びが重要。
  • 研究で、父親が子供達と直接関わることで広範にわたる社会的心理的有益な影響。父親が一緒に遊び、本を読み聞かせ、外に連れ出し、世話を焼いた子度持ったちは、学校生活の初期段階で問題行動を起こすことは少なく、思春期に入っても非行や犯罪に走ることは少ないのだ。

  • 未熟児でも父親がしっかりかかわれば3際時点で父が関与しなかったこどもよりもIQが高い。父が関わったこどもはティーンエイジでもたばこをあまり吸わない。7際の時に父から読み聞かせをしてもらい、16際の時に日々の学校での様子を父親から尋ねられていた女子は、後年、うつや精神的な病を発症することが少なくなるのだ。

  • 遊びが子供時代を通じて、父と子の交流の核となっているのだ。

ティーンエイジャー

オキシトシンの可能性(p.198)

  • オキシトシンを嗅いだ父親。子供の探究心と自主性を最適な形で鼓舞した。
  • 子供と遊んだ後の唾液を調査。母と父で異なる反応。母は愛情たっぷりのふれあいでオキシトシンが増大。父は愛情に満ちたふれあいではなく幼児が興奮したり、探検ごっこのような、父と子の典型的なじゃれ合いの遊びに反応した。
  • 父にオキシトシンを投与して子供と遊んだ場合、子供(生後5カ月)のオキシトシン値も上昇。

高齢の父親

  • 興味の範囲外だから飛ばすが、さまざまなリスクを細かくみている。

9 父親のやっくわり

  • 家事育児の役割分担。女性が食事の支度をするというのは結構ながく続いている。